親代わり
なにか言いかけて、それが相手を不愉快にさせたらどうしようとか、
隠さなきゃいけない自分の不調を相手に知られてしまったときとか、
とっさに言葉を飲み込んでしまいます。
「何でもない」
って。
そう言われた方がもやもやしてしまうのもわかっていて、でも、小さい頃本音を言うより黙っていた方がうまく事が運ぶ事が多かったので、ついつい黙ってしまうのです。
そんなときにハードルさんは
「ちゃんと言って」
って私が言うまで待ってくれます。
本当に言いたくないと決めたことは、
「頑固なんだから」
と、追い詰めない優しさも持っています。
飲み込まなかった言葉が相手に伝わって、それを聞いた相手が怒らず認めてくれること。
小さなときに経験するべきだったことを、私はやっと今覚え始めています。
それでも、まだ頭にあげなきゃ話ができないし、そうでいなくちゃいけないと思っています。
ハードルさんはこんな私をどう思っているんだろう。
少なくとも出会った頃よりだいぶ不安定で闇が深そうなのは伝わり始めているのかもなぁ、と。
私は怒鳴り声や急な物音、大きな音、たとえばサイレンなどに異常に恐怖感があり、会話がおろそかになってしまったり息が詰まったりしてしまいます。
友達と同じように「耳がバカだからそっちにしか意識いかなくなっちゃうんだよねー!笑」
とか言ってヘラヘラして誤魔化していたのですが、最近ハードルさんが、街中でサイレンが鳴ったらそっと私の手を握ってくれることに気づきました。
きっと、私が不安になっていることを察してくれているんだと思います。
親にもそんなことされたことなかったので、心がぐらぐらして甘えきってしまいそうになりますが、いつもなんとか堪えます。
ハードルさんの父性の前に、私はもうなんの抵抗もできず、手のひらで転がされるままです。このままじゃいつか私は堪え切れずに爆発してしまいそうな気がする。
言葉も飲めず、不安もすぐにぶつけて、そんなの愛想尽かされるに決まってる。
というよりむしろ、そのまっすぐな愛が無くなる日を想像しただけで怖くて仕方がなくなる。
もう、彼氏じゃないな、これ。
親から欲しかったかった愛そのものだ。
寂しい時、そばにいてほしかった。
怒鳴らずに話を聞いてほしかった。
どれだけ私が大事か言葉にしてほしかった。
そして抱きしめてほしかった。
不安になったら寄り添ってほしかった。
いけない事をしたら話し合ってほしかった。
ハードルさんは、私といてなにがいいんだろう。
私なんかといて得する事があるんだろうか。
PMS、鬱っぽさ、もはやここ毎月そうだ。