「私」
私だから、好きになってもらえた。
私だから、ここまで付き合ってこられた。
私だから…
そんな風に思えたらどれだけ楽になるだろう。
誰でも良かった。
都合が良ければ。
生理的に無理でなくて、従順なやつ。
代わりはいくらでもいる。
そう思うから、どれだけでも尽くそうと思った。
自分が消えるまで、尽くそうと思った。
なのに、わがままを言う子が可愛いと、捨てられた。
私は都合良く「利用」される人間になった。
利用してもらえればそれだけで満足だった。
利用してもらえさえすれば役立たずではないから。
その考えは、消えてない。
ハードルさんは、私でなくてもきっとその優しさと人間の豊かさを生かして幸せになれるし、むしろ私みたいな歪んだやつといるほうが悪影響だと思う。
私は、ほんとのことは言えてないし、言うつもりもない。
だって、どうでもいいだろうし。
「私じゃなきゃダメ」に出会いたかったけど、違ったみたい。
「一生俺を助けて」
って言われるほうが、よっぽど捨てられるかもしれないことを想像し続けるよりマシ。
だって、助けていればずっと傍にいてくれるんでしょ。
自分なんてなくていい。
好きな人の世界が平和であれば、もう何も求めない。
私の代わりは、いくらでもいる。
もういいよ、そういうの。
役立たずって思うの、しんどいよ。
思っているのは私の勝手だけど。
ハードルさんから逃げたい。
傷つく前に逃げるほうが傷は浅い気がする。
もう過呼吸も板についてきた。
ねぇ。逃げたい。
嫌い、って、一言ください。
そうすれば私は私に戻る。
誰にも選ばれない、特別感のない、役立たずな私に。
それが居心地がいいの。